雑談掲示板
【ゲームブック風】テキストクエストその3【リレー小説?】
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名前:時雨
投稿日:2018-01-14 22:04
ID:gX20EMvk
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当スレッドは、進行役が主導する物語を読み手が進めていくゲームブックもどきです!
今回は前回からの続きとなります。全部読まなくても大まかな流れが分かるよう定期的にまとめが入っているので良かったら見てね。
前々回→http://mhxbbs.com/thread/ta/new/67089.html
前回→http://mhxbbs.com/thread/ta/new/78531.html1、スレッドの概要
私達の分身たる主人公「あなた」の視点でMHXXの世界でハンター生活を送ります。
「あなた」がどんな結末をたどるかは物語の展開次第です。
皆で「あなた」を好きなように導いてあげましょう。【あらすじ】
その1 >>46(シナリオ42~45まで) その2 >>392(シナリオ46~47.5まで) その3>>631(シナリオ48~)
【入手した物】
>>47【オリジナル特殊個体図鑑】
その1>>49 その2>>6323、進行の流れ
クエストの提示(クエスト終了まで提示者が進行役の権利を得る)
↓
進行役が文章を書きつつ選択肢などの分岐を提示し、読み手がそれに答えながらクエストをすすめる
↓
クエスト成功!or失敗…
↓
たまにはクエスト以外のイベントなんかも!?
↓
次のクエストへ!4、ルール説明 ※必ずよくお読み下さい
基本的なマナーについて
・当スレッドの設定議論などは当スレッド内で行って構いませんので別途関連スレッドを建てないで下さるようお願いします。
・雑談、感想、アドバイスなども禁止しないので気軽に冷やかしてね!
進行役について
・前シナリオが終わった後、最も早くクエスト提示を行った者が次の進行役の権利を得るものとします。
・進行役の権利を得た者は目印として@を名前に入れて下さい。
・何らかの理由で進行役を続けられ無くなった場合、その旨を宣言することで権利を譲渡できます。(もう寝るとか続き思い付かないとか)
・進行役が権利移譲を宣言してから最も早く引継ぎを宣言した者がそのシナリオの進行役を引き継ぐものとします。
・選択肢が選ばれる等して進行の準備が整ってから三日以上書き込みがなかった場合、進行役の権利を譲渡したものとします。(出来れば前もって宣言してね)
・シナリオ本文の編集については丸々削除したり、意味が変わる程の大幅な修正などはしないようにお願いします。(誤字脱字、文章の微修正や加筆程度は良い)
作中の設定について
・原作ゲームのモンスターハンターシリーズ及びハンター大全シリーズの情報を、当スレッドで共有する基本的な世界観として扱います。(参考:MH大辞典wiki)
・提示するシナリオについては原作ゲーム内のクエストの他、オリジナルのクエスト等も可とします。
・登場させるキャラクターについては原作ゲーム内のキャラクターの他、オリジナルのキャラクターも可とします。
・登場させるモンスターについては原作ゲーム内のモンスターの他、それらの設定を一部変更した特殊個体としてならオリジナルモンスターも可とします。
・一から考えたオリジナルモンスターや人語を喋るモンスターなどについては作中での登場はご遠慮ください。
・登場させる装備については原作ゲーム以外のオリジナルの物はご遠慮ください。
その他
・上記のルールは全て原則として扱い、>>1の裁量で限定的に変更される場合があります。(要望なども相談に応じます)
・当スレッドの進行、運用に問題が発生した際は>>1が調整、決定する権限を持つものとします。 -
832
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-10 18:35
ID:r2AQHDk2
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・ミーシャちゃん回
・選択肢多分少なめ
・長くなったらゴメン(重要)おk?
シナリオ51:よだかの星
銀嶺ガムートの狩猟、もとい第三王女のワガママへ付き合わされた一件から数日が過ぎようとしていた。
雪山ほどではないとは言え、この時期のベルナ村を通り過ぎる風は不意に鋭く肌を刺し、寒さが震えとなって全身を駆け巡る。
――同居人となったメイレーは片腕で器用にエリックを抱いて毛布に包まり安らかな寝息を立てている。 悪夢にうなされる様子も、失くした腕の幻肢痛に苛まれる様子もない。
自己の希薄さ、とでも言えばいいのだろうか。 口調が移りやすいだけかと思えば、今や片腕の生活にもすっかり慣れたようで、ルームサービスとしても板についてきた。
在るものを在るがままに受け入れる、適応力などという言葉では荷が勝ちすぎる、彼女が知らず知らずのうちに身に着けた特異な能力。
彼女が此処に居ること、狩人を目指していること、そもそもあの状況から生還出来たこと――偶然の積み重ねと言ってしまえば確かにそうかもしれない。
だからこそ、だろうか。 この少女の行く末は自分が見守る……いや、見届けなければいけないのだろうと、胸中には日々そんな思いが渦巻くようになっていた。そのためにも力が欲しい、行き場を失った切なる願いから無造作に振るった腕が、あの日からベッドの横に立てかけてある弓に触れる。
先の依頼でミーシャから預かった灼炎のヴァルスター、握り締める左手に伝わる熱は斬竜の吐息が如く力強さを秘めていた。
弓に精通した彼女が見立ててくれただけあり扱い易さは折り紙付き、そして何よりもあのディノバルドの力を手中に収めたようで言い得ぬ高揚感すら湧いてくる。
名弓、その一言に尽きる一級品。 まさに今求めている『力』というもの体現したかのような……何れ彼女へ返さなければならないのが惜しい程だが、これは飽くまで借り物だ。
ここ数日姿が見えないミーシャだったが、今日の昼にはこれを受け取るためマイルームを訪れるとケイ――あの眼光の鋭いアイルーから連絡があった。
一品物と言う訳ではないのだし、後々加工屋に依頼して同じものを作って貰えばいい。 そう自分を納得させ弓を手放すと、軽く息を吐きだして天井を見上げる。
――昼までは、随分と時間がかかりそうだった。* * *
「それ、貰っちゃっていいですよー。」
予定より少し早く訪れたミーシャと昼食を取りながら銀嶺の話をしていると、あっけらかんと彼女はそう口にした。
如何に同じ武器を同じ職人が作ったとしても握り心地や弦の張り具合、リムの角度――非常に微細な差はどうしても生じてしまうから、手に馴染んでいる物を使うに越したことはないらしい。「その代わり、ちょっとお願いがあるんですよー。」
――正直、厄介ごとの匂いしかしない。 全財産かけてやってもいい、だが決して安くない貰い物をしてしまっただけに断り辛い。
寧ろそのお願いとやらを承諾させるための撒き餌だったかのように思えてくるが……いや、こんな事でケチをつけるのはよそう。
内容を聞いてからでも遅くはないだろう、そう判断してミーシャに続きを話すように促してみる。「デートしてくれませんー? 明日の朝龍歴院前で待ち合わせでー。」
……は? 今コイツなんて言った?
いや正直彼女との関係はまんざらでもないと言うか、変に気負わずスキンシップを取れる仲と言うか、そもそも一番既成事実が多いのは確かにコイツと言うか――
狼狽えている間にミーシャは口元を拭い、いつもの悪戯っぽい笑顔を浮かべ手を振りながらマイルームを後にしてしまう。「おにい、でーとってなにー?」
間延びした口調の移ったメイレーが不思議そうに顔を覗き込んでくる。 やめろ、今そんな純粋な視線を俺に向けないでくれ。
何とか答えをはぐらかすと変わらぬ表情で首を傾げ続ける彼女を尻目に、そそくさと明日の準備を整え始めるのだった。 -
833
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-10 18:36
ID:r2AQHDk2
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本日の天気は、風は強めに吹いているかもしれないが日差しは暖かい。 絶好のデート日和と言ったところだろうか。
悶々としたままに夜を迎えてしまいやや寝不足気味ではあるが、悩んだ甲斐あってそれなりに服装は決まっていると自負している。
あとはもう成り行きに任せるしかないだろう、どこへ出かけるとも何も聞いていないのだから、いやしかし開口一番なんと声をかけるべきか……「あら、奇遇ね。 今日はオフの日なのかしら?」
不意に後ろから声をかけられる、振り返ると凛とした佇まいのベテランランサー――アリーチェの姿があった。
今日はちょっと……そう返答しかけたところでその後ろで手を振るエリクシルの姿に気付く、着ているのはミツネ一式……いや天眼一式だろうか。 何にせよ珍しい組み合わせだ。「これからミーシャちゃんと出かけるんですよ、シナト村って言う所の近くまで行くとか……」
シナト村……確か極東に位置する山脈の辺りに存在する集落だったはずだ、いやその前にミーシャと出かけるとか聞こえたが……
「ええ、貴方も誘われていたのかと思ったけれど、その様子だと違うみたいね。」
… … … … …
あの野郎、ハメやがった!! マズイ、ここで「デートって言われてたからこんな服装で来ちゃいました。」なんて口にしようものなら何を言われるか、どうにかして取り繕わなければ――
ミーシャに誘われたことは正直に話すとして……そう、消耗品を買い足しに来た事にしよう。 買い物が終わればすぐに準備して戻ってくるつもり、これなら完璧だ。「態々龍暦院のショップに来たの? ベルナ村の雑貨屋でも必要なものは揃うと思うのだけれど?」
完璧でも何でもなかった、これ以上訝しまれる前にさっさと退散してしまおう。
半ば無理矢理に話を切り上げてマイルームへと走り去る、恐らく背後では2人共首を傾げているだろうがそんな事には構っていられない。
畜生、完全に弄ばれてしまった。 後で頬の一つでも抓ってやる――アイテムボックスの前に立つなり一張羅を脱ぎ捨て、大慌てで装備を引っ張り出す。じっくりと長考する時間もないし、シナト村の近くに行くと言っていたがあの辺りに生息しているモンスターの事が頭に入っている訳でもない。
強いて言えば今の面子は剣士1人にガンナー2人、近接武器を持ち出した方がバランスが取れるかもしれないと言うことだけか……何を持っていくべきだろうか?* * *
・武器、防具、スタイル、狩技を選択して下さい。
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834
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-10 20:34
ID:w0pYpYJA
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デートだと聞いてたからね。開き直って灼炎のヴァルスター担いでいってミーシャの反応に期待しよう。
防具はブラキX一式、スタイルはブシドー、狩技はアクセルレインでお願いします。 -
835
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-10 22:06
ID:r2AQHDk2
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騙したミーシャへの当てつけに武器は灼炎のヴァルスターを持って行ってやろう、防具は困った時のバルクシリーズ……では芸がない、ブラキXシリーズにでもしておくことにする。
手早く装備を着込み龍暦院前に戻ると、今度は先程の2人に加えてミーシャの姿もあった。 何とか誤魔化せたようだ。「遅刻ですよー?」
咎めるような言い方ではない、それどころかこちらにだけ顔を向けているミーシャはしてやったりと言わんばかりに舌を覗かしている。
今すぐにでも小突いてやりたいところだが後ろ2人の目もある、それが分かっていてコイツもやっているのだろう、ここは我慢せねば……「ところでミーシャ、シナト村の方面なんてどうやって行くのかしら。 龍暦院の狩猟区域からは外れているわよ?」
アリーチェの疑問は尤もだった、シナト村の辺りはバルバレやドンドルマのギルド、そして大老殿が管轄している。
特例でもなければ龍暦院の保有する飛行船等は使えないだろうし、そうでなくても今回は狩猟依頼ではなくミーシャの私用のようだ、移動手段は自分達で確保しなければならないだろう。「大丈夫ですよー、移動手段ならあの船の船長さんに話をつけてありますからー。」
そう言って彼女が指差した先には、一隻の飛行船が停泊していた。
……随分と個性的なデザインの飛行船だ、船体はまるでクジラのように見えるのだが、全体的に朱に彩られた上に船首である口内からは撃龍槍が覗き見えている。「我らの団って言うキャラバン隊の船なんですけどねー、知り合いが居たのでお願いしてみたら快く引き受けてくれたんですよー。」
キャラバン隊に知り合いが居るとは意外だった、ドンドルマでもハンターをしていただけあって実は顔が広いのかもしれない。
「準備が出来たらすぐに出発してくれるらしいですから、忘れ物がなければ出発しますよー。」
忘れ物と言っても、最悪足りない消耗品はそのシナト村という所でも補給出来るだろう。
装備の方も突貫で着込んでは来たが――恐らく不備はなさそうだ。 ミーシャの目的は分からないままだが美女3人に囲まれた船旅も悪くない……それでもアイツは1発小突く必要はあるが。
エリクシルとアリーチェもどうやら問題はないらしい、首を縦に振って準備完了の意を示すと、独創的な飛行船へと向けて歩き出した。* * *
「ワッハッハ! 随分と見知った顔が居るのぅ、どうやらワシらはよっぽど縁が深いようじゃの!」
乗船するなり出迎えてくれた人物に思わず目を丸くした、太古の病魔との一件や宝玉眼争奪戦で世話になった竜人問屋その人だった。
思い返せば確かにキャラバンに同行しているとか、そんな話をしていた覚えが頭の片隅に残っている。「その説は毎度ありがと300万ゼニー! いや、アレは20万ゼニーじゃったな、ワッハッハ!」
ポロっと極秘依頼の事を漏らしかけた竜人問屋に慌てて口元で人差し指を立てる、失言だと気付いた彼はわざとらしく数度咳払いをするとポンと膝を叩いて話を切り替える。
「ワシが言うのもなんじゃがこの船の乗り心地は中々のもんじゃぞ、シナト村に着くまでの間のんびりと過ごすが良いじゃろうて。 ワッハッハ!」
そんな会話をしている内に船体が揺れ徐々に高度が上がり始めた、すぐに出発してくれるらしかったが、此処まで早いとは予想外だった。
辺りを見回せばキャラバン隊のメンバーと思われる人物の姿も数名見える。
大柄で逞しい男、眼鏡をかけた知的な女性、中華鍋を担ぐアイルー、ハンマーを手にした元気のいい少女――船のデザインに負けず劣らず個性的な面々だ。
他にもこの飛行船の操舵をしているであろう船長……いやキャラバン隊だから隊長か、それとも隊の名称からして団長だろうか? 何にせよ長を務める人物がどこかに居るはずだ。ゆっくりできる時間があるのならばミーシャ達3人も含め、一通り話をしておきたいところである。 さて、まず誰から声をかけるか……
* * *
1.とりあえずミーシャを連れ出して小突く
2.ここぞとばかりにエリクシルと2人きりに
3.アリーチェと親交を深めておく
4.『我らの団』の面々に挨拶する※選択肢で選ばれなかった方々も執筆が端折られるだけで会話したことにはなります※
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836
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-11 00:27
ID:BfhIy47s
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筆頭ライター投稿しとるやんけ、選択肢選んだろ!
団長とかの掛け合いどう描かれるか楽しみではあるけどここはやっぱりミーシャで!
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837
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-11 12:51
ID:wSJ6dbXY
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>>836
選択肢やる予定なかったけど寂しいからやるわ!
我らの団もベルナ来るから絡ませんとな! -
838
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-12 22:18
ID:r2AQHDk2
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ホントはね、昨日の夜に投げれたハズだったんだ。 仕事で遅くなったから夜の1時まで頑張って書き上げて投稿しようともしたんだ。 文字数制限オーバーに心折れてそのまま寝ちゃったよ……
そんな訳で選択肢まで結構しっちゃかめっちゃかに分割します(人間の屑* * *
何はともあれ、まずはミーシャの奴にお灸を据えねばならない。 ふらふらと何処かへ行こうとしているアイツの首根っこを引っ掴み、人気のない船尾へと引きずっていく。
またしてもエリクシルとアリーチェの奇異な視線を浴びる事になったが、こればかりは仕方がないというものだろう。「相変わらず仲いいなぁ……」
「そうね、でもあの関係は恋人と言うより兄妹に近いけれど。」――そんな会話がなされていたことは、誰にもあずかり知らぬところである。
* * *
予想通り船尾周辺に人影は見当たらなかった、こいつの気紛れには散々付き合わされてきたが今回は度が過ぎる、多少のお仕置きは然るべきだろう。
「だってお人好しのあなたの事だから、ちゃんと話したら絶対断らないじゃないですかー。」
ミーシャは少しも悪びれた様子もなく膨れっ面で唇を尖らせると、そっぽまで向いて分かりやすく拗ねて見せる。
言葉をそのまま受け止めるのなら頼みを断ってほしかったように聞こえるが、いまいち思惑が飲み込めない。「アリーチェさんとエリクシルさんはもう知ってるんですけどねー……」
――珍しくしおらしい声で彼女が語りだしたのは、自らの生い立ちに関することだった。
生まれてくる前に父親は亡くなっていたこと、それを追うように母親もすぐに亡くなったこと、唯一肉親と呼べた養父もドンドルマでハンターとなってすぐに他界したこと。
自分には、他人が当たり前に持っているような『生まれてきた理由』がない、それに代わる何かを求め苛烈な狩猟に身を投げたこと
それでもごく僅かに、仲間と呼べる人々と出会い、別れ、そして遂には白髪鬼とまで呼ばれるようになったこと――「それでも、最近は皆が居ればそれでいいって……そう思い始めていたのに、こんな物が届くんですよー。」
懐から取り出したのはクシャクシャになった便箋だった、皺まみれになっているのに、切り口だけは妙に新しい……それだけ開封を逡巡したということだろう。
「もうハンターを引退したはずの知り合いからこれが届いて……お義父さんの故郷が分かったって、お前の求めてるものの手がかりもあるはずだ、ってー……」
『生まれてきた理由』――即ち、自分自身が望まれて生まれてきたかどうか。
証明できる物があるとすれば親の愛情だったり笑顔だったり……それは全て彼女の人生で欠けてきたパズルのピースだ。「正直今だって知るのが怖いんですよ、でもそんな事話したらあなたの返事は決まっちゃうじゃないですかー、だから選択の余地がある方法を選んだんですよー。」
つまり、あの狂言は彼女なりに遠回しながら気を使った結果であり、自身のプライドを出来る限り傷つけない方法を選んだということなのだろう。
――だからと言ってお灸を据えなくていい理由にはならない。 両頬を抓って無理矢理グイっと上に持ち上げてやる。「いひゃいでふってー、にゃにしゅるんでふかー!!」
手をばたつかせて抗議するのを黙殺し、薄らと潤む彼女の目をじっと見つめる。
――こんな回りくどい方法を取ったなら、せめていつも通りで居ろ。 俺の知るミーシャはどんな時だろうと、何が相手だろうと大胆不敵に笑っているぞ。
そう伝えて頬を離してやると、彼女は目を丸くしたまま暫しこちらを見つめ――ふっと笑みを浮かべる。
「あーあ、こんなことならあんな回りくどい方法取るんじゃなかったなー。」
漸く普段のミーシャに戻ったようだ、話の内容を全く気にしていないわけではないが、本人があんな調子では上手く行くものも行かなくなると言うものだ。
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839
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-12 22:18
ID:r2AQHDk2
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……しかし、改めて思えばよく1人だけで飛行船に乗せてもらえる交渉が出来たものだ、顔見知りとはいえあの竜人問屋を頷かせるのは一筋縄ではいかなかっただろう。
「昔手に入れた素材を譲ってあげたんですよー、2つ手に入ったから1つは自分で持ってたんですけど、何でも宝玉眼とか呼んでる貴重品らしくてー。」
様々な偶然が重なった結果、盛大に吹き出してしまう。 よくよく考えれば、あれが本当に何かの眼だとすれば確かに同じ物がもう1つあるのは道理だが……!
あの大捕物に自分が巻き込まれぬことが二度とありませんように――そう願いながら会話を一方的に打ち切ると、そそくさとその場を立ち去るのだった。その後、初老ながら活力溢れる団長や寡黙で大柄な竜人、彼に師事する加工職人見習いの少女、料理長であるというアイルーや旅団の看板娘と言った個性的な面々と挨拶をかわして床に就く。
明日の朝にはシナト村という場所に到着しているというが、果たしてどんな村なのであろうか――* * *
「うわぁ……!」
シナト村に降り立った途端、エリクシルが感嘆の声を漏らす。
海の代わりに広がる白い雲、うねりと共に解け行くそれは白波よりも儚く消えて、幾つもの山の頂が岩礁のように転々と飛び出ている。
彼女が瞳を輝かせるのも無理はない、切り立った山々の上に存在するこの村から見える景色は他とは一線を画している。「ここが錬金術発祥の地と言われている伝説の村なんですね! まさか本当に来れるなんて!!」
……いや、どうやら彼女は感動のベクトルが違ったようだ。 1人で勝手に村の奥まで走っていき、大窯をかき混ぜている人物から食い入るように話を聞き始めている。
彼女らしいと言えばそうかもしれない、何はともあれ、船で聞いたミーシャの養父とやらの家を探さなければならない、まずは聞き込みでも……「お義父さんが居たのはシナト村じゃなくて、此処から少し山を降りた先にある名前もない集落らしいですよー。」
歩き出そうとしたところをミーシャが制止する、懐から取り出した便箋――ここに来るまでに散々読んでいたそれには詳しい道程も記されているようだ。
小さな村だから人探しも容易だと思っていたが、どうやらそう上手くいかないらしい。 正直この雲海の中を進むのは気が引けるが――「君たち、名もなき集落まで行くのかい?」
不意に声をかけてきたのは、近くで畑を耕しているにこやかな青年だった。
先程までクワを振るっていた手を止めると、汗を拭いならこちらに歩み寄ってくる。「名もなき集落……随分な呼び方なのね。」
「あそこで暮らす人達も村の名前を知らないくらいだからね、この村とも殆んど交流がないんだ。 山道に沿って2、30分で着く距離だけど、道中足場が滑りやすいから気を付けて。」アリーチェと短く会話した青年は踵を返すと、再び畑でクワを振り始める。
名もなき集落――こんな秘境紛いの地で暮らす人々なのだから余程神秘的か、或いは偏屈染みた人々の集まりなのだろう。「お前さん達が帰ってくるまで俺たちはちゃーんとここで待ってるからな、安心して行ってこい! なぁに、どんな困難が待っていようとお前さんらなら出来る出来る!」
こんな地まで送り届けてくれたどころか見送りまでしてくれる団長に謝辞を述べると、今だ話し込んでいるエリクシルの首根っこを掴みズルズルと引きずっていく。
あと少しで新しい錬金の境地が、とか叫んでいるが通過点に過ぎない村に何時までも居られない、続きは帰り際にでも聞くように諭して諦めさせ荒れた参道へと歩を進めることになった。 -
840
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-12 22:19
ID:r2AQHDk2
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「見えてきたわ、あれが集落みたいよ。」
湿った岩の連なる視界の悪い山道を歩き小一時間は経っただろうか、先頭を行くアリーチェが指差す先にはシナト村の入り口にもあった独特な赤い門のような建造物がそびえていた。
あの青年は2、30分と言っていたが、それには『山道に慣れている者の足で』という枕詞が付いていたのだろう。 皆疲労の色は隠せずエリクシルに至ってはすっかり押し黙ってしまっている。
ミーシャの目的も大事だがその前に小休止しなければ身が持たないだろう、集落にどこか休める場所があればいいのだが――「止まれ! 村には何人も入れることは出来ん!!」
どうにもそうはいかないらしい、霧をかき分けて集落から現れたのは左頬に黒い紋様を絵付けた筋骨隆々とした男だった。
何人も入れることは出来ないとは随分な言いようだが、やはりこんな場所に住んでいるからには外部と係わりを持たないような掟でもあるのだろうか。「今この村は奇病が襲っている、態々火中に飛び込む真似をする必要もあるまい、立ち去られよ!」
……予想より遥かに現実的な理由かつこちらの事を案じてくれていた、自分の想像は妙な偏見だったということか。
だがこの男の発言は聞き逃せる物ではない、三度邂逅することになった『奇病』というワードに思わずエリクシルと目を見合わせる。
今からシナト村まで引き返すの事も体力的に厳しい、それに他との交流が希薄な村に病という組み合わせはどう考えても嫌な予感しかしない。「私にはどうしてもここに用事があるんですよー、1日でいいから入れてくれませんー?」
何よりミーシャには帰れと言われたところで帰れない理由もある、直視するにも勇気がいるような強面の男と真正面から向き合っている辺りどこまでも食い下がる魂胆なのだろう。
「ダメだダメだ、これはお前たちの為でも……むっ?」
その姿を見た瞬間、男の様子が一変した。 威圧するような態度はどこへ行ったのか、ハッとした表情でミーシャの事を――正確には、彼女の目元のペイントを――見つめている。
なんだかよく分からないが、これはこの男を言い包めるチャンスなのではないだろうか? 上手くいけば村に入れるかもしれない、さて、どう切り出すか……* * *
見張りの男を言い包める方法を選択して下さい。
1.以前にも蔓延した奇病の原因を突き止め解決したことがある、と実績を持ち出す。
2.ミーシャはこの村の出身者だ、とハッタリをかます。
3.もう一歩も動けないから少しでも休ませてくれ、と泣き落としにかかる。
4.相手は一人、強行突破を試みる
5.自由枠 -
841
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-15 12:23
ID:hsQbZJeY
[編集]
なんだか止まってるので選んじゃおう、2番でお願いします~
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842
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-17 03:07
ID:lnZ1BS7Q
[編集]
ちょっとリアル忙しくて投稿速度いつもより遅い上に選択肢が少ない構成だから書き上げに時間がががが。
長くて見辛くてゴメンね(´・ω・`)* * *
男の左頬に刻まれた独特の黒い紋様、その男が見つめるミーシャのトレードマークでもあるペイント、これは何か関係があるに違いない。
彼が冷静であるならまだしも、多少なりとも動揺している今ならハッタリが通るかもしれない。――ミーシャはこの村の出身者だ、生まれ故郷にも入れて貰えないのか?
目の前に割って入りさも当然の主張の如く胸を張って言い放つ、我ながら中々の名演ではないだろうか。
「いや、そんなはずは……しかしその紋様はまさしく……」
当惑を隠せない様子でしどろもどろに受け答えをする男が一歩後退る、こうなってしまえばもうこちらの物だ、すかさず一歩詰めより語気を強めに「どうなんだ?」と問い詰める。
「ええい、そこまで言うなら通るがいい! だがもしも貴様の言葉に一つでも偽りがあると知れたならば……その頭、二度と胴体の上に君臨出来ぬ物と思え!」
怨嗟染みた感情を込めた目で睨みつけながらも、どこか自棄になった様子で男は道を開けた。
成り行きを見守っていた3人を手招きしつつ、彼の横を悠々と通り過ぎて村へと足を踏み入れる。「ちょっと、あんな事言ってよかったの?」
入り口から少し離れ見張りに声が届かない距離まで来ると、アリーチェが声を潜めながら咎めるように話しかけてきた。
確かに出身者と騙しはしたがミーシャは完全に部外者と言う立場でもない、少々強引だがこの集落に居る間は嘘を貫くとしよう。
……もし最悪の事態になりそうならば尻尾を巻いて逃げればいい、流石に集落の外にまでは追ってこないだろう。「だっ、大丈夫ですっ、こんなこともあろうかとトウガラシと火薬草に、けむり玉がっ。」
「逃げ方が過激過ぎですよー、あと先に息整えましょうかー。」
「はぁ……どうなっても知らないわよ?」息も絶え絶えながら手持ちの道具を見せようとするエリクシルの背をミーシャが擦りながら宥める、危機感の薄いやり取りに歴戦のランサーはやれやれと言わんばかりに額に手を当てる。
彼女が憂う通りあまり長居の出来た状況でもない、早いところミーシャの探し物を見つけて――そういえばこいつの探し物ってなんだ? 結局具体的な事は聞いてない、今の内に確認しておかなければ。「さぁ?」
… … … … …
つまり、これと言った明確な探し物がある訳ではなく『何かあるかも』程度なのか? ハッタリをかましてまで集落に入ったと言うのに?「お義父さんの家から手記でも見つかれば何か分かるかなって思ってるんですけどねー。」
――聞くだけ聞こう、その養父とやらの家はどこにあるんだ?
「さぁ?」
集落の人間に嘘がバレる前に、顔も見たこともないミーシャの養父が暮らした家を見つけ、在るかどうかも分からない探し物を見つけろ、と――何とも途方もない話に思わず天を仰ぐ。
深い靄に霞む太陽は頭上を通り過ぎ黄昏へと傾きだしていた、当てもなく人気のない集落を歩き回る自分の首は、果たして何時まで繋がっていることだろうか……。 -
843
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-17 03:08
ID:lnZ1BS7Q
[編集]
「ミーシャ、あなたの養父についてだけど……他に家族は居なかったのよね?」
集落を彷徨い続け数刻、不意に足を止めるとアリーチェはそう切り出してきた。
「そうですねー……親兄弟の話は聞いたことないですよー。」
「なら、この集落の何処かに家があっても、そこには誰も住んでいない可能性が高いわよね?」彼女の問いに、ミーシャは少し考え込みつつも頷きを返す。 それを確認するとアリーチェは背を向けある一点へ視線を向ける。
「此処ですれ違った人達、何人かは見張りやあなたみたいに顔にペイントをしていたわ。 それはこの村と密接に関係があると思うの、だとしたら……あの家が怪しいんじゃないかしら。」
集落の中でも『外れ』に位置するその家は酷く寂れており一見して明らかに人気が感じられない、それでも扉に深紅で描かれた大きな翼のような紋様だけは言い知れぬ存在感を示している。
「あの形、ミーシャちゃんの……」
「お義父さんは弓が上手くなるおまじないって言ってましたけど……偶然にしては出来過ぎてますよねー。」そう、あれをそのまま縮小していけば、丁度ミーシャのペイントと同じ模様になるのだ。
もしもこのペイントが屋号のように使われているのだとしたら、養父が暮らしていた家でほぼ間違いないだろう。
調べてみる価値はある。 そう判断して古い扉に手をかけゆっくりと押し開くと、悲鳴にも似た軋みと共に長い月日をかけ積もったであろう埃が舞い上がる。「これは……凄いわね。」
埃が、だろうか。 それともこの光景が、だろうか。
弓、弓、弓――寝食を行う僅かなスペースを除き、見渡す限り弓の山。
弓ではない物が目に飛び込んできたかと思えば、それは矢であるか手入れ道具であるか、後生大事に壁に掛けられた物もあれば床に投げ捨てられている物もある。「お義父さんらしいと言うか……おかげで分かりやすくて済みましたねー。」
こうも弓ばかり並んでいては、普通なら何処にでもあるようなものが異物として飛び込んでくる。
机の片隅にあるコップや床に転がる羽ペンにインク瓶、そして机の上――やたらと丁寧に安置されている手記と、その真ん中辺りに挟み込まれた封筒。
示し合わしたように視線がミーシャに集まる、床の軋みと共に近付いた彼女は手が触れる寸前で一瞬逡巡したように動きを止めたものの、手記を持ち上げそのページを開く。「『もしこれを開いているのがお前ならば、封筒を託す。』……ですってー。 はは、これ間違いなくお義父さんの字ですよー。」
ミーシャに見せられた手記には、今まさに彼女が読み上げた言葉が如何にも不器用そうな無骨な文字で書かれていた。
期待と不安が入り混じった乾いた声と共に剥ぎ取りナイフを取り出しすと、微かに震える手で封筒の縁を切り捨てる。
中に入っていたのは4つ折りにされた便箋、どんな弓も使いこなす器用な指先が、中を見ることを拒絶するかのように何度か縁を捲り損ね――紙の擦れる静かな音が鳴る。
嫌な沈黙と共に視線が文字を追う、その動きもすぐに止まると彼女は深く息をつき、便箋を封筒へ戻す。「ミーシャちゃん、何が――」
「長、こいつらです! 村の出身者だと言い張ったのは!!」エリクシルの問いをかき消す怒号、入り口で言い包めたはずの見張りを先頭に武器を手にした村人達が次々と雪崩れ込んでくる。
床に転がる弓を蹴り飛ばしながら次々に剣先や穂先がこちらを向く。 ――マズイ、完全に逃げ場がない。「……此処で暮らしておったのは、一番の変わり者で、一番に弓の扱いに長けた者じゃった。」
彼らの後ろから現れた『長』は、屈強な男たちとは対照的に、痩せ細り杖を片手に歩く腰の曲がった老人だった。
見えて居るかも怪しいような細い目でこちらを一瞥すると、真っ直ぐにミーシャの元へ歩み寄り彼女の事を見上げる。「鷹の翼を眼に宿す者よ、お前と此処の主はどの様な関係じゃ? どうしてその紋を知っておる?」
枯れ枝のように容易く折れそうな細身に似つかぬ鋭い眼光がミーシャを射貫く、傍から見ていても身動ぎしそうになる視線を、彼女は退屈そうに見下ろし返していた。
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844
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-17 03:09
ID:lnZ1BS7Q
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「私はお義父さんの……此処の主の義理の娘ですよー。」
無感情に言い放った途端取り囲んでいた村人達がざわつき始める、流石に予想していなかった返答なのだろう。
動揺する彼らを意に介さずミーシャは淡々と集落を訪れた目的、そしてすべき事が済んだ以上長居する理由もないことを告げる。
その言葉を聞いた長は微かに眉根を動かすと、こちらに背を向けて数歩進むと静かに首を縦に振る。「お前達は勝手に集落に入り、勝手に同胞の住む場所を荒らした罪人として裁かれなければならぬ。」
老人の言葉に動揺していた村人が一斉に武器を構え直す、エリクシルが小さく悲鳴を上げ、アリーチェが彼女を庇うようにして前に出る。
どうにかして包囲を潜り抜けて逃げ出さなければ、しかしこの緊迫した状況で何が出来る――?「だが義理とは言え同胞の子であるならば家族も同然、無下に裁くことは出来ぬ。」
その言葉と共に向き直り杖を持たぬ方の手を掲げると、突き付けられていた武器が一斉に下げられる。
「――蔓延している奇病、その原因を突き止める手を貸してくれるならば、今回の一件は不問としてやろう。」
こちらの意思を確認するような言葉が続かないということは拒否権などないのだろう、断ればこの場で全員串刺しと言ったところか。
またしても厄介事に巻き込まれてしまった、今回は自分が蒔いた種なのだから文句など言えないのだが……念のため視線を送ってみるが3人とも意思は同じの様だ。「ならばお前達はこの里の客人だ、皆の者、奇病の事は然るべき助力をするように。」
そう告げると長はその場を立ち去る、武器を手にしていた村人達も不承不承と言った様子で散開していく。
「はぁ~……」
大きな溜め息と共にエリクシルがその場で座り込む、アリーチェも手の甲で冷や汗を拭っているし、自分自身も痛いくらいに心臓が鳴っている。
いつも通りに――寧ろいつもより冷静に――構えているのはミーシャだけだ、あの状況で動じないコイツの心臓は果たしてどうなっているのだろう。「全く……誰かさんがあんな真似しなければもう少し穏便に済んだのにね。」
冷ややかな声色と共に視線が突き刺さる。 ……確かに早計な手段を取ってしまったかもしれない。
「そうだ、ミーシャちゃん。 それには一体何が書いてあったの?」
「んー……後で話しますよー、それよりも奇病って言うのを解決して早く帰りませんー?」書いてあった内容を察しようにも、彼女の表情はどこか退屈そうということしか読み取れない。
何はともあれ無事に帰るには奇病とやらの原因を突き止めなければいけないという事か、こっそり逃げ出そうにも集落の入り口は1つだけ、見つかればどうなるか分かったものではない。「集落の人も一応は協力してくれるのよね、奇病の情報を集めるのと……」
「治す方法も必要ですよね、薬の処方は任せてください!」小さな集落とはいえ4人しか居ないのだから手分けした方が良いだろう、情報収集をする組と治療に当たる組が必要だが、どう分けるか――
* * *
・メンバーを情報収集班と治療班に分けてください。
・分け方は2-2でも1-3でも構いません。 -
845
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-18 06:53
ID:26otmwLw
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ミーシャとアリーチェで情報収集、あなたとエリクシルで薬調合と普通な感じで
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846
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-20 08:01
ID:lnZ1BS7Q
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今回も2000文字制限の所為で変なところで分割だよ。(´・ω・`)
一応シナリオ的には半分切ってるので気長にお付き合いください。* * *
情報収集はミーシャとアリーチェ、そして治療は俺とエリクシル、この組み合わせで臨むとしよう。
先程の騒動から考えると、ミーシャが相手ならば村人達もある程度心を許してくれるのではないだろうか、同胞の子は家族同然と言った長を信じるとしよう。
万が一の為にアリーチェにも同行してもらい、エリクシルには例の如く奇病の調査をして貰う。 俺は名目上の助手兼護衛だ、流石にエリクシルも一人きりでは心細いだろう。「余計なお世話かもしれないけれど、そっちも十分に気を付けるのよ。」
「何かあったらすぐにお知らせしますねー。」アリーチェならば村人達に粗相をすることもないだろうし、ミーシャはなんだかんだ言って目ざといところがある、悪くないペアだろう。
手短に一旦の別れを告げると、こちらはエリクシルと共に奇病に侵されている村人の元を訪ねることにした。* * *
病に倒れた面々は集落の集会所――狩人が指すそれではなく、本来の意味合いでの場所――で横たわっていた。
簡易的な寝床に寄せ集められた住人は時折苦しそうな呻き声をあげ、身内と思われる人々が懸命の看病を続けている。
倒れているのは数名と言ったところか、太古の病魔やドスイーオスの件と比べれば見劣りしそうだが、元々集落で暮らしている人数を考えると看過出来ぬ事態だろう。「発熱……手足の麻痺……意識の混濁……」
病人の隣で膝をつくとエリクシルは手早く症状の確認に入る、本業は錬金術師とは言え似たような騒動も3度目となれば慣れたものだ。
……予想はしていたが、前回は倒れていたし前々回も調査に回っていた為、治療となると手持ち無沙汰だ、水枕の交換でも手伝うべきか?「ああ、どうして戦士達ばかり次々と……」
ふとしわがれ声の呟きが耳に入り振り向くと小柄な老婆が嘆きながら水枕を変えていた、戦士ばかりとは一体どういう事だろうか。
「皆それぞれ顔に紋様があるじゃろう? これはこの集落の習わしでね、戦いに長けた者は扱う武器に応じた紋様を顔に刻むのさ。」
事情を尋ねると老婆は親切にそう教えてくれた、改めて病人達を眺めてみると確かに顔の何処かしらに見張りの男のやミーシャの様なペイントがある。
「獣を狩りに行った者、野草を摘みに行った者、様々ではあるが山に出かけるなりこの有様じゃ……このままではいずれ儂も山に行かねばならぬか……」
物騒なことを言わないで欲しいものだ、しかし今の話が本当なら奇病に侵された戦士達は全員天空山に出かけたと言う事になる。
様は自分達ハンターと似たような仕事をしているのだろうが、それならば何かしらのモンスターに襲われたのだろうか? ……ふと何時かの影蜘蛛が頭を過ぎり背筋が凍る。
今全てを判断するには早計だろう、エリクシルを手伝いながら情報収集をしている2人の帰りを待ってから答えを出せばいい。 そう結論付けて水枕の取り換えに勤しむのだった。* * *
「お待たせしましたっ! 倒れた方々の容態も安定してきましたよ。」
あれからどれだけもしない内にアリーチェとミーシャは戻ってきた、すぐにでも情報交換と行きたかったがエリクシルの仕事が終わるまでに少々時間がかかってしまった。
おかげで集会所中に広がっていた呻き声は鳴りを潜め、代わりに落ち着いた寝息が聞こえてきている。「幾つかお薬を試してみて病気の正体もほぼ掴めました、少し奇妙ではあるんですけど……」
「なら、それを含めて情報交換としましょうか。」分☆割
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847
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-20 08:02
ID:lnZ1BS7Q
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2人が集めてきた情報によると病が流行りだしたのは数日前、食料調達に出かけた者数名が風邪のような症状を訴え始めてからだという。
微熱と全身の倦怠感、少し大人しくしていれば快方に向かうと誰もが思っていたが見る見るうちに症状は悪化し今の惨状に至る。
最初の発病者がこの状態になるまでの間にも2人、3人と同じ症状を訴える者が増え、遂にはこの集落の半数以上が倒れてしまった。「看病に当たっていた人が同じ症状に陥ることはなかったみたいですよー、空気感染とかじゃないみたいですねー。」
戦士達の間で蔓延した奇病、集落の人間は山神の祟りなどと言い出している者もいるらしいが――エリクシルが治療出来たという事はそんな類のものではないのだろう。
「ええ、結論から言ってしまうと――検出されたのは、ブナハブラの麻痺毒です。」
彼女が言うには、倒れた者全員に虫刺されの痕があったと言う。 その周辺の体液を分析してみたところ検出されたのはその麻痺毒と――
「……微量の狂竜ウイルスと、獰猛化エキスと一緒に。」
――厄介な二つのオマケだった。
* * *
「仮説ではあるんですけど、普通なら代謝で身体から排出される麻痺毒が、獰猛化エキスで活性化して体内に残留し続けたんだと思います。
その後遅効性の狂竜ウイルスの作用で免疫力が低下して風邪のような症状から始まって、最終的に麻痺毒が手足の麻痺や意識の混濁を招いた……。」
「確かにそれなら天空山に立ち入った後で発症したことも、倒れたのが戦士の方だけなのも、二次感染が起きていないことも全て説明がつくわね。」そこまで分かってしまえばその後の処置は早かった。
ウチケシの実を用いて狂竜ウイルスの活動を抑え込み低下した免疫力を復活させ、刺された場所から血抜きを行い毒素を排出し、解毒草の絞り汁で傷口を消毒。
後は適度な水分補給と出来る限りの食事で代謝を上げてしまえば程なくして熱も下がり始めてくるだろう、集落を襲っていた奇病の呆気ない幕切れだった。「でも、これは『原因』とは言えないわよね?」
険しい表情のままのアリーチェが発した言葉に頷きを返す、これは飽くまで治療法を確立しただけだ。
奇病の原因は狂竜ウイルスを取り込み、獰猛化までしているブナハブラ――そしてその裏に居る、短期間での変異を促した『何か』の存在。「場所が場所だから、狂竜ウイルスを取り込めるようになったって言うのはまだ納得がいく……けれど、小型モンスターまで獰猛化するのはやっぱり不自然ね。」
何らかの要因によって極度の興奮状態に陥ることで発現する獰猛化、元より気性の荒い大型モンスターならまだしも今回に至ってはあのブナハブラだ。
狩猟中でも気紛れに横槍を入れてくるあのモンスターが獰猛化するほど興奮する、そんな事があり得るとしたら――「生態系を崩しかねない程の何かが、この近辺に現れたってことですよね……?」
――今まで天空山に居なかった種、若しくは全くの新種かつ、二つ名持ちクラスの危険度を有したモンスター。 『何か』の正体はそんなところだろうか。
そいつを撃退するなり狩猟するなりしなければ、奇病の原因を突き止めたとは言えないだろう。「話によると、どんな腕の立つ戦士でも天空山の奥地には立ち入らないらしいわ、何かが身を潜めているとしたらそこじゃないかしら?」
「それか禁足地に入り込んでるかですねー、特に最近は危険なモンスターが屯してるみたいですしー。」アリーチェとミーシャがそれぞれ探すべき場所の候補を挙げてくれる、2人とも言い分も尤もなのだが、果たしてどちらを探すべきか。
既に陽も落ちかけている、探索は明日になるとしてもどちらから探すかは今の内に決めておきたいところだ――* * *
明日の行動方針を決めてください。(シナリオボスとかが分岐します。)
1.アリーチェの推す天空山の奥地を調べてみる。
2.ミーシャの推す禁足地を調べてみる。 -
848
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-20 12:25
ID:r58x5dLw
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獰猛な混沌ゴアとか期待して天空山で~
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849
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-22 10:55
ID:lnZ1BS7Q
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ぬぅ、風邪引いたか……? 一旦書けているところまで投げておこう、選択肢まで行けなくてスマヌ……
* * *
ブナハブラが影響を受けているということは、元凶も天空山の何処かにいる可能性が高い。
アリーチェの言うように天空山の奥地を調べてみることにしよう、もし当てが外れたなら禁足地に向かえばいいだけのことだ。「それじゃあ……もう今日は休みませんか? 私、流石に疲れちゃって……」
方針に誰も異存のないことを確認すると、エリクシルはおずおずと手を挙げながらそう進言してきた。
確かにシナト村を出てからと言うものの、山道を歩き、集落を探し回り、奇病の原因を探り――エリクシルだけではなく、皆疲労はかなり蓄積している。
二次感染の心配はないと分かっていても病人達と同じ家屋で休むことになるのは少々気が引けるが……何かあればすぐに駆け付けられる、強引にそう思っておくとしよう。
――粗末な毛布を被ってどれだけもしない内に寝息が聞こえ始める、余程疲れていたのだろう。 明日に備えて瞼を閉じ睡魔に身を委ねてしまうとしよう。* * *
まどろみだしてどれだけ経っただろうか、不意に衣擦れの音で目を覚ますと集会所から出ていく人影が目に付いた。
外はまだ暗いと言うのに、身を乗り出してみれば明らかに膨らみの足りない毛布が1つ有る。 何かあったのだろうか……仲間や病人達を起こさすよう注意を払い、入口へと向かう。「……あら、起こしちゃったわね。」
月明かりの先に居たのはアリーチェだった、ミス・ドンドルマ殿堂入りを果たすだけの事はあり、月光に照らされた佇まいはブランシュとはまた違う、凛とした美しさがある。
顎先でクイと隣を指され横に来るように示され、虫の声だけが静かに響く闇を進んで歩み寄る。「私、自分の事はもっと冷淡で淡白な女だと思っていたのだけれど……」
瞳に月を映しながらベテランランサーはぽつりとそう呟いた。
何時かの獰猛化テツカブラとの一件以来親し気にはなっていたが、個人的な頼みを聞くほどに親しかったとは意外だった。「こっちから協力を申し出たのよ、あの子の助けになるために。」
――ますます意外だった、興味を持った相手でもなければ中々に辛辣な言動を見せる彼女が此処までするとは。
「頭から離れないのよ。 あの時、私を庇った後に見せたミーシャの――ドンドルマの白髪鬼としての顔が。」
面識以前から2人を繋ぐ奇妙な縁、様々な偶然が折り重なって結果同じ名を冠することになった、全く違う2人。
「でも、私に出来ることは助けになる事だけだわ。」
夜の空気よりもずっと冷ややかな口調でアリーチェは語る、助けになるだけでも十分ではないかと思うのだが――遠くを見つめる彼女の横顔を覗き込み、続きを待つ。
「あの子が無茶をした時に止めることは出来るわ、でもミーシャに白髪鬼の顔をさせないように出来るのは……」
山風にブロンドの髪が揺れる、言葉を区切った彼女と初めて視線が交錯する。
彼女の振るう槍を思わせる、真っ直ぐな視線。 それが暫し瞳の奥を射貫いて――「……さ、話もここまで。 あまり夜歩きしていると身体に毒よ。」
一方的なまでに会話を切られ、アリーチェは静かに集会所へと引き返していく。
どことなく釈然としない気持ちでその背中を見送り頭上に輝く満月を仰ぎ見ると、濃い藍鉄色をした星海を一羽の鷹が悠然と横切っていくのが見えた。 -
850
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-24 01:15
ID:r2AQHDk2
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完全に風邪っ引きですが投げれるところまで投げておきます、短くなってスマヌ…
* * *
騒動から一夜明け、一部容態の回復した戦士達や村人の謝辞を背に受けながら、天空山のベースキャンプを目指し相も変わらず霧に包まれた山道を進む。
奇病の原因――天空山の奥地に潜む『何か』を突き止めなければならない、予測の付かぬ未知の手合いと言うだけでも、死闘となるのは間違いないだろう。
皆の装備は……概ね普段通りと言ったところだろうか、アリーチェは最早正装と化したセインスクウィードにEXレイアシリーズ、ミーシャは何時もの防具に手入れの行き届いた闘弓バリエンテ。
変わり種としては、いつの間に手に入れたやら自分でもまだ作ったことのない天眼一式で身を包み、瓢箪のような形状をした玩具染みた軽弩を担ぐエリクシルくらいか。
彼女達の事を心配する必要性はなさそうだ、寧ろ総合的な面で不安の残るのは自分自身なのかもしれない。 通り名持ちの2人やここ最近張り切っているエリクシルの足を引っ張らないようにせねば。「天空山の奥地……何が居ると思います?」
気を引き締めていると、眉根を寄せながらエリクシルが声をかけてきた。
ここは初めて訪れる狩場のため、地形や生態系について詳しくは知らないが、出立前にこちらを先導する2人に聞いた限りではかなりの種が生息しているようだ。「あれから少し考えたんです。 生態系を根本的に崩すようなモンスターが現れたなら、影響を受けたのがブナハブラだけなのはおかしいんじゃないかって……」
事実、以前とある事件がきっかけでこの天空山に狂竜ウイルスが蔓延した際は、阿鼻叫喚の地獄絵図になったとミーシャ達が話していた。
それを考えれば今の状況と言うのは被害が少な過ぎる、全種とは言わずとも甲虫種くらいは影響を受けていてもおかしくない筈だ。「もしかしたら、今天空山に影響を与えているのは強大なモンスターじゃなくて……」
「着いたわ、ベースキャンプよ。」――話している内に目的地に着いたようだ、エリクシルの言う推測も気になるが、ここまで来たら相対してしまう方が早いだろう。
アリーチェの広げる周辺地図を覗き込むと、どうやら天空山は狩猟エリアの中央付近がベースキャンプとなっているらしい。
意外にも狩猟エリアは少なく、名の通り天を貫くほど巨大な山脈ではあるが、この環境に適応した種やそもそもの生息域は限られているのだろう。「集落の情報通りだとすれば、ベースキャンプに近いエリアに異変はなさそうなんですよね?」
「エリア4は猫ちゃん達の住処ですし、エリア8には飛竜くらいしか寄り付かないですよー。」
「エリア2に居るのもババコンガ程度ね、一番怪しいのはエリア7かしら。」アリーチェが広げた地図を皆で覗き込みながら幾つか印を付けていく。
情報を纏めると、右回りか左回りかでエリア7を目指すことになるが……左回りならばエリア3を確認すべきかどうかも決めなければならないだろう。
此処からでも絶えず落石が――それも当たれば死は免れないサイズの物が――降り続けているのが見える、正直こんなおっかない狩場に長居もしたくない。
さて、奥地に進むルートはどうしようか……* * *
奥地に向かうルートを選択して下さい
1.エリア3は無視して左回りで奥地へ(BC→1→5→6→7)
2.エリア3も調査して左回りで奥地へ(BC→1→3→5→6→7)
3.右回りで奥地へ(BC→1→2→6→7)
4.自由枠(関係ないエリアも見たい、チーム分けしてそれぞれ回る等)MH4やったことねぇよ! 天空山分からねぇよ! って方の為にマップ乗せときます。
http://wiki.mh4g.org/data/1519.html -
851
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-24 06:37
ID:26otmwLw
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エリア3の調査もしながら採掘して懐を温めながら7に向かいましょう
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852
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-24 12:28
ID:ppizYosU
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BCを出る前に一度後ろを振り返ろう(提案)
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853
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-25 00:37
ID:r2AQHDk2
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>>852
フグゥ* * *
確かこの天空山は希少な鉱石が採掘出来ることでも有名だったはずだ、素材として使えなくても換金は可能だろう、タダ働きだけ御免被りたい。
と言う訳でエリア3にて調査と言う名目の採掘をしてから奥地に向かうことにしよう、異論は認めない。「その気概だけは見習うべきかもしれないわね……」
呆れた様子でアリーチェが先頭を行く、それに続いてミーシャとエリクシルも後に続いていく。 ……そうは言ってもこちらにとっては死活問題なのだが。
仲間に理解されない事を嘆きながらもベースキャンプを出ようとし――ふと振り返る。
背後に聳えるのは人が立ち入らぬよう封印の施された石門、僅かな隙間から覗くその先は禁足地と呼ばれる場所、いずれは足を踏み入れる日が来るのだろうか。
そう物思いに耽っているとその門の隙間から蠢くものが見えた、何やら小さく光るものがこちらへと近付いてくる。
はっきりとその姿を認識できるようになったのは足元までやってきた時だった、金色の細長い身体に両腕の鎌――蟷螂のようだがこちらの足を引っ掻こうとしてやたらと好戦的だ。
見たこともない虫だったため観察していたがこうまでされると煩わしくなってきた、脚を振り上げて思いっきり踏みつけてやると、潰れた蟷螂は四肢を痙攣させながらも絶命したようだ。「何かあったんですかー? 早く行ってお望みの採掘して奥まで行きますよー!」
遠くでミーシャが声を張り上げている、訳の分からない蟷螂などに時間を要らぬ取られてしまったようだ。
踏みつけた時のやたらと硬い感触に多少の違和感を覚えつつも、先にベースキャンプを出た3人を急いで追いかけることにした。* * *
なんだかんだと言いながら、しっかりと採掘に付き合ってくれる辺り皆いい仲間だと、飛竜の巣に程近い場所でポーチを眺めながらつくづく思う。
ポーチを満たした希少な鉱石の数々、頬を緩め切ってしまうのには十分値するだろう、これで今回かかる諸経費は賄えそうだ。「さ、満足したかしら? 早く奥地に向かうわよ。」
やれやれと言わんばかりの表情を浮かべるアリーチェは、さながら子供のワガママを聞く母親のようだ、本人に言えば大変なことになるだろうが。
結局はこのエリアには何も異変はないようだ、やるべき事は終わったのだから次はエリア5へ向かって――「いやぁあああっ!!」
劈く悲鳴が天空山に響く、今の声はエリクシル……ではない、ミーシャだ。 あいつがこんな叫びをあげるとは何事だろうか。
アリーチェとアイコンタクトを交わし崖下へ飛び降りると、そこには一心不乱に何かを踏みつけるミーシャと、それを唖然と見つめるエリクシルの姿があった。「はぁ……はぁ……っ!」
「み、ミーシャちゃん? 急にどうしたの……?」息を切らしてようやく脚を止めた彼女はおぞましい物を見るような目で後退る、そこまでして踏みつけていたものは――
「カマキリだけは大っ嫌いなんですよ! なんでこんな所に……ああ、気持ち悪いっ!!」
錯乱気味にまくし立てたミーシャの言う通り、踏み付けていたのは先程も見かけた蟷螂だった。 大胆不敵な彼女にもここまで苦手な物があったとは意外なものだ。
エリクシルが懸命にミーシャを落ち着かせる中、アリーチェは屈みこんで蟷螂の死骸を指で摘まみ上げる。「……こんな生き物、天空山で見た事ないわ。」
新種と言う事だろうか? だとすればこれが奇病の――ブナハブラが変異した原因となってしまう。
確かにあれだけ好戦的な気性の蟷螂に襲われれば瞬く間に食料となってしまうだろうが、こんなものが1匹2匹居たところで生態系が狂うとも思えない。「……ねぇ、嫌なことが頭に過ぎったんだけど。」
死骸を空きビンへ入れてサンプリングしたアリーチェが、険しい顔つきでそう切り出す。
「蟷螂って確か、卵鞘から無数に産まれてくるのよね?」
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854
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-25 00:38
ID:r2AQHDk2
[編集]
… … … … …
特に蟷螂が苦手という訳ではないが、背筋に冷たいものが流れたのが分かる。
これを踏み付けていたミーシャはエリア5の方を向いていた、つまりこの蟷螂はそちらからやってきたことになる。
ゆっくりと振り返る、エリクシルの戸惑う顔、ミーシャの引き攣った顔、アリーチェの強張った顔が視界を流れ――耳障りな甲高い鳴き声を上げながら大挙する蟷螂の姿が視界に入る。
今までの個体は幼体だったのだろうか、姿を見せたその蟷螂達は膝の高さ程まで成長している。「か、帰りましょう! ベースキャンプまで引き返しましょう!!」
「賛成よ、あまりにも部が悪いわ!」
「わ、分かりましたっ!」かなりマズイ状況ではあるが、撤退しようとする3人を慌てて引き留める。
あの蟷螂は禁足地からもやってきていた、引き返せば挟み撃ちになる――逃げるならば上しかないだろう。「うう……私にとってはこんなの悪夢ですよー!!」
誰よりも先にミーシャは蔦を掴んで一気に登っていく、それに続くようにして一斉に崖を登り蟷螂達から逃れようとする。
「あれだけの数が居たから……だから、捕食されるブナハブラが異常な変異を遂げたってことですか?!」
エリクシルの声に思わず後ろを振り返る、高い場所から見下ろすとこの場所に続く左右の道――エリア1、5両方から蟷螂の軍勢が迫っている。
……100匹は、居るだろうか? あれだけの数まともに相手に出来たもんじゃない、取り合えずこのエリアの一番上まで来たがどうするべきか。
逃げる手立てはなさそうだ、何とか迎撃しなければ――* * *
・蟷螂の軍勢に対する手段を決定して下さい。
1.此処から武器攻撃で迎撃する(アリーチェは射程外の為3D6×3)
2.アイテムを駆使し迎撃する(選択されたアイテム次第)
3.自由枠※シナリオボスのレギュレーション解説※
アトラル・カ幼体100匹(?!)との戦闘です、これから選択肢を選ぶごとに幼体達が崖を1段ずつ上がって来ます。
3回目の選択肢を選び終わった時点で追い付かれ一斉に襲われますのでそれまでに撃退を目指しましょう。
なお、主人公達の武器攻撃だけでは基本的に『一人につき3D6』の数しか減らせず、アリーチェに関しては『3回目の選択肢まで武器攻撃が出来ない』状態です。
普通に攻撃を重ねても撃破しきれるかは五分五分です、アイディアを駆使して撃退を目指しましょう。
なお狩技に関しては『最初から使用可能な代わり1つにつき1回まで』とします。(管理を楽にしようとする人間の屑全員のステータス
主人公 武器:灼炎のヴァルスター スタイル:ブシドー 狩技:アクセルレイン
アリーチェ 武器:セインスクウィード スタイル:ストライカー 狩技:未確定(選択肢を選ぶ際自由に決定可能です)
ミーシャ 武器:闘弓バリエンテ スタイル:ブレイヴ 狩技:未確定
エリクシル 武器:瓢弾【千成】 スタイル:レンキン 狩技:未確定 -
855
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-25 20:29
ID:ppizYosU
あなたとミーシャは選択肢1で通常攻撃
エリクシルは選択肢1に+αで鬼人弾を使った後にレンキン音波爆弾が作れるようになるまで通常攻撃(小型モンスター扱いになるのか知らんけど)
アリーチェは一応選択肢2で、蟷螂の群れがくるまでドーピングしててもらうついでに、時間が余ったら崖際に採れたてのライトクリスタルでも並べててもらおう(謎の儀式)フルで攻撃しても滅ぼせる確率はそんなに高くないけど、果たしてどういうギミックが仕込まれているのか……はっ!?まさか失敗した場合は小さい蟷螂がミーシャちゃんの服の中に入り込むというイベントが発生するという可能性も!?(殴
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856
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-25 20:30
ID:ppizYosU
[編集]
ぎゃーパス付けようとしたら誤爆したー
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857
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-25 21:47
ID:nWYzrp.w
[編集]
後ろのエリアから竜の卵盗んで崖下に投げれば発狂レイア召喚できるかな?とも思ったけど…流石にリスクが大きいか?
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858
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-26 11:01
ID:7ZXqssMU
[編集]
>>857
さすがにこっちにも被害出そうやしやるとしたら最後の選択の時やろなあ -
859
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-02-27 00:32
ID:r2AQHDk2
[編集]
あ、レンキンゲージ考えてなかったな……狩技と同じ扱いでいっか。(発想が適当な屑)
* * *
幸いこちらにはガンナーが3人も居る、槍の届かないアリーチェは兎も角として今なら地の利を活かして先手を打つ事が可能だ。
あれだけの数ならば適当に撃っても当たるというものだ、ジリ貧になる前に少しでも数を減らしておかなければ。「目、瞑りながら撃っていいですー……?」
「我慢しなさい、あれが一番上まで来るよりマシでしょう。」弱々しい声を上げるミーシャに対しアリーチェが静かに喝を出す、その手には赤いビン――鬼人薬グレードを握っている、自己強化を図っている辺り流石に抜け目がない。
ぐずぐずしていると岸壁に隠れて矢が当たらなくなってしまう、崖際に陣取ると灼炎のヴァルスターを引き絞り、眼下目掛けて矢を放つ。
虚空を切り裂いた矢は炎に包まれ、獲物を食いちぎる斬竜さながらに蟷螂達の身を焼いていく。
二の矢を構えんとした時、重みのある風切り音が真横を通り抜けたかと思うと少し遅れて鈍い衝撃音が響く、腹を括ったのかミーシャも攻撃に加わり始めたようだ。「当たってますよねー?! 後射線に入ったらそっちが退いてくださいよー!」
本当に目を瞑ってバリエンテを扱っている、こいつの蟷螂嫌いは筋金入りのようだ。 確かにあれだけの数が蠢いていると否応なしに不気味さは感じるが……
「そ、そうだ! 皆さん、これを!」
慌てふためくエリクシルの声と共に短い装填音がしたかと思うと背後から赤い光が身を包む、玩具みたいな見た目に反しあの軽弩には鬼人弾まで内蔵されているようだ。
攻撃の機会を減らしてでも効果的な支援を選択してくれた彼女には感謝しかないが、今はそれを伝える時間すら惜しい、慣れないながら再び弦を引いて迫る軍勢を焼き焦がしていく。「えっと、あとは……!」
「十分よ! あなたも攻撃に回って!!」一瞬戸惑いを見せるもアリーチェに指示を出され、短く呼吸を整えると自分の真横まで駆けてきて同じように崖際に陣取って軽弩を構える。
視線が交錯する、エリクシルは微笑みながら力強く頷いて見せるとボウガンのトリガーを引き、独特な銃声が立て続けに3度響き渡る。「早いわね……もう一段目まで登り切られてる。」
3種類の矢弾の雨に晒されながらも蟷螂達の勢いは衰えを知らない。
階段状になった台地の1段目をあっという間に制圧され、早いものは既に2段目へと登ろうとしている。
勿論死骸もかなりの数だ、頭や胴を貫かれたり、半身を弾丸で吹き飛ばされ絶命した蟷螂が数十体――全体の3割程度は減らせただろうか。
先程と違い、2段目の台地へ登る為の蔦はこちらから丸見えだ、先程よりは多少狙いやすいだろうが……単純な計算をしてしまうと、此処まで到達するまでに倒しきれるかはギリギリだ。アリーチェも攻撃に加われるラストスパートには余裕を持たせたい、その為には、恐らくここが正念場だ――!!
* * *
~1ターン目攻撃結果!~
エリクシルの鬼人弾による援護! 他3名の武器攻撃の達成値に+2!!
アリーチェの鬼人薬グレートによるドーピング! アリーチェの武器攻撃の達成値に+2!!(累計+4)
主人公、ミーシャによる武器攻撃! 群れに3D6+2のダメージ!!(主人公12+2、ミーシャ7+2)
エリクシルの援護後の武器攻撃! 援護による攻撃機会の損失もあり、群れに2D6のダメージ!!(エリクシル6)累計ダメージ29!(71/100)
* * *
・蟷螂の軍勢に対する手段を決定して下さい。 なおこのターンは相手を先程より狙いやすいため全ての達成値に+2されます。(選択肢が使い回しになるのだけはご了承下さい。)
1.此処から武器攻撃で迎撃する(アリーチェは射程外の為3D6×3)
2.アイテムを駆使し迎撃する(選択されたアイテム次第)
3.自由枠 -
860
名前:名無しさん
投稿日:2019-02-28 13:54
ID:v0KsZZZs
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んー・・・兎さんのことだから何か一気に撃退出来たりするギミック仕込んでそうなんだけどなんだろう?
とりあえず無難にあなたとミーシャでアクセルレイン、エリクシルはラピッドヘブン、アリーチェに崖の上からタル爆弾落として貰うとかかな -
861
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-03-01 00:48
ID:r2AQHDk2
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>>860
一応想定していたギミックのヒント:蔦、ヴァルスター、ゼルダの伝説。* * *
この位置からなら崖の蔦を伝い登ってくる蟷螂達の姿が丸見えだ、畳みかけるなら今しかないだろう。
この好機は絶対に逃せない、矢に薬袋を括りつけると頭上目掛けてそれを放つ――微かに煌めく粉塵が全身に降り注ぎ、一時的とは言え身体能力のリミッターが取り払われる。
比喩表現ではなく本当に動きの軽くなった身体で弓を構え直すと、こちらに迫る蟷螂の速度に負けじと次々と矢を番え放っていく。「ミーシャ、あなたもいい加減まともに攻撃しなさい!」
「嫌いって言ってるのに直視しろって言うんですかー! 悪魔! 鬼!!」
「鬼はあなたでしょうが!!」白髪鬼同士でしか絶対に出来ないやり取り、その後も不服そうに小さく唸っていたが漸く彼女も腹を決めたようだ。
涙目になりながらもミーシャも同じように薬袋を放つ、引き攣った表情で特徴的なリム越しに彼女の目が獲物を捉えると、重量に物を言わせた矢が次々と蟷螂を叩き落していく。「数の勝負だったら私だって負けませんから!」
弾丸を装填しながらエリクシルはその場で片膝を着く、まだ蔦に辿り着けず両腕をこちらへ振り上げて威嚇する蟷螂達に銃口を向けると、躊躇いなくトリガーを引く。
軽快な射撃音が立て続けに鳴ると、数瞬遅れて悲鳴染みた耳障りな鳴き声が次々と上がり始める。 掃射を行うならこれ以上適した狩技もないだろう。
――敵の減り方が先程の比ではない、これなら十分に押し切れる。 そう確信した瞬間、万全の状態で迎え撃つ準備をしていた筈のアリーチェが崖際へと躍り出た。「このままじゃ私の出番なさそうじゃない? これ位は……出来るわよっ!」
ドンッと重量感たっぷりな音と共に彼女は自分の両隣へと大タル爆弾――正確にはさらに一回り大きな大タル爆弾G――を設置する。
底が崖から少しはみ出た不安定な状態、蓋の縁に手をかけてすぐに落ちないよう支えながら機を待ち……数匹が2段目に台地を登り切ると同時に手前へと押し出す。
慣性に従い空中で少し回転しながら落下したそれは真下の台地へと激突し、すぐさま轟音と熱風が天空山を駆け抜けていく。
爆煙が収まると、身動きできる蟷螂は10匹程しか残っていなかった。 これで大勢は決した、最早後れを取る要素は何一つないだろう。そう考えると、得も知れぬ脅威を与えてきたこいつらに何かしらの意趣返しをしたくなってきた。 確か先程みた地図からするとこの先には――
「どうしたんですか? 急にニヤニヤして……え? レンキン音爆弾で? ……わ、分かりました。」
都合よく話しかけてきたエリクシルにある作戦を耳打ちする、かなり声が上ずっている辺り流石に面食らったのだろう。
急に踵を返し駆け出した俺をアリーチェが呼び止めるが、それも意に介さずエリア8へ入ると、中央に鎮座するそれを抱え込んで即座に来た道を戻る。「ちょっと、こんな時にふざけてる場合じゃ――」
そうこうしているうちに、残った蟷螂達は3段目の台地――俺達の逃げた高さまでやってきていた、ミーシャに至っては既に弓を背に戻して全力でこちらへ駆け出してきている。
彼女のこんな姿を見る機会はそうそうないだろうがそれもこれで見納めだ、エリクシルに合図を送るとその手から投げられた特別製の音爆弾が放物線を描き炸裂する。
甲高い音に蟷螂達がパニックを起こす、その隙にここまで運んできたものを頭上に掲げると、全身全霊の力を込めて蟷螂達の中心に放り込む。――響く破砕音、流れ出る生命の元、そして轟くは地を割る咆哮と羽ばたきの音。
自らが産んだ卵を壊され激昂した陸の女王が地に降り立つ、その怒りの矛先は一番近くに居た、一連の騒動に全く関係のない者に向けられる。
如何に数が集まろうとも、幾ら昆虫の中では巨体であろうとも、竜に勝るには至らない。 一方的な蹂躙が行われだしたのを尻目に、仲間たちへと撤退の合図を下すのだった。* * *
~2ターン目攻撃結果!~
主人公、ミーシャがアクセルレイン発動! 高速の攻撃で群れに4D6+4のダメージ!!(主人公10+4、ミーシャ13+4)
エリクシルがラピットヘブン発動! 群れに4D6+2のダメージ!!(エリクシル12+2)
アリーチェが大タル爆弾Gを投下! 群れに15の固定ダメージ!!累計ダメージ89!(11/100)
3ターン目で負ける要素がなくなったので3回目の判定省略、勝利!! -
862
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-03-03 04:40
ID:r2AQHDk2
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あの蟷螂はベースキャンプの奥、禁足地からも姿を見せていた。
その為キャンプにすら寄らず一目散に集落へ引き返したのだが、どうやらそれが功を奏したようで何事もなく帰還することが出来た。
アリーチェが瓶詰めした幼体の死骸を引き渡し、奇病の真相についての推察を伝え、快復した戦士達に見送られながらシナト村に引き返し――今はベルナ村へ帰る飛行船の上だ。――夜風に晒され今になって身体が震える、未知のモンスターなど危険極まりないのは分かり切っているのに、あの数を相手によく切り抜けたものだと思う。
一度に相対したモンスターの数も、倒しきったモンスターの数も3桁に届こうという狩人は恐らく他には居ないだろう――キャラバン隊の加工屋に採掘した鉱石を鑑定して貰いながらそんな事を考える。
「どれもこれも……龍暦院では使えない鉱石だな……せめて俺が買い取ってやろう……」
その巨体に見合うゆっくりとした口調で告げると、天空山で採れた鉱石の山があっという間に硬貨の山に置き換わる。
色々と大変な目にはあったが、これだけでも今回遠出した価値は十分にあったと言えるだろう。「この素材は……中々に癖が強かったぞ……」
――収穫はもう一つある、どさくさに紛れて撤退しながら集めてきたあの蟷螂の甲殻類だ。
走りながら拾い集めた程度なので数は多くないが、何かしら作れはしないかとダメ元で手渡してみた所、採取した鉱石の一部も交えて一振りの狩猟笛へと仕上げてくれた。「甲殻とは思えない程硬いが……その分脆い……まともに使うなら工夫が要るだろう……」
黄金に輝く美しくも妖しいデザインは、あの蟷螂の異質さをそのまま形にしたかのようだった。
結局あれが何だったのかは分からず終いだが、報告書だけ提出すれば後の事は龍暦院が対応してくれるだろう。「ベルナ村まではまだかかる……今はゆっくり休むといい……」
慣れない山道を歩き続けて身体は確かに限界だ、しかしその前に結局有耶無耶になってしまっている事を確認せねば。
アイツの事だ、また甲板の何処かで空でも見ながらあの歌を歌っているのだろう。 その辺りを歩いていればすぐに見つかるはず――「あら、用事は済んだの?」
探しに行こうとしたところでばったりとアリーチェと出くわす、完成したばかりの狩猟笛を見せこれからミーシャを探すつもりだと告げると彼女は何も言わずに首を縦に振る。
「ミーシャなら船首の方に居たわよ、また歌っていたわ。」
行きは後ろで帰りは前か、気紛れで何処かへ移動する前にさっさと捕まえてしまおう。
船首へと向かうために彼女とすれ違おうとして――その表情が妙に神妙であることに気付いて脚を止める。「テツカブラの狩猟に行って、あの子の話を聞いて……私なりに考えていた事があるの。 産まれてくる意味とか、死んでいく意味とか。」
問い質したわけではないが、アリーチェは静かに心の内を吐露し始める。
……正直、哲学めいていて何やら難しい話だ、そんなことは考えたこともないし、考えたとしても自分には答えなど分からないだろう。「ええ、きっと正解なんてないわ。 ……でも、何のために生きているかは?」
唐突に、メイレーの顔が脳裏を過ぎった。 アリーチェの言わんとしている事は何もミーシャの件だけではなく、彼女にも通じる部分があるのだ。
2人が決定的に違うのは手にしようとしているもののベクトルだけだ、ならばその過程において彼女が『白髪鬼』のような存在になったとしても不思議ではない。……だが、その後は? 彼女の望みが順当に叶ってハンターになれたとして、彼女の目標が――容易に想像できる仇討が――達成された時、彼女に何が残る?
「私はあなたと会えて良かったと思っているわ、ミーシャもエリクシルも同じ。 ……だから、何時かあの子がそう思えるようにね。」
全てが終わった後メイレーがからっぽにならないようにしろ――そう言いたいのだろう、スケベハンターなどと言われる男には重責過ぎやしないだろうか。
「さ、早くしないとミーシャがどこかに行っちゃうわよ。」
背負った物の重さを痛感しているこちらの事もどこ吹く風に、言いたいことだけを言うとアリーチェは軽く手を振って船室へと姿を消してしまうのだった。
-
863
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-03-03 04:41
ID:r2AQHDk2
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釈然としないままに1人残されてしまい、仕方がなく再び船首の方へと歩を進める。
アリーチェとは予想外に重大な会話をしてしまったが、そもそもはミーシャが養父の家で手に入れた物――彼女の求めているものが一体何だったのか、それを聞いておきたいだけなのだ。「きゃっ……!!」
歩き出してすぐ、飛び出してきた人影――今度はエリクシルとぶつかる。
「ご、ごめんなさい! 前を見ていなくて……」
彼女は彼女で様子がおかしい、しきりに目を擦っているし目の周りは真っ赤になっている。
すっかり泣き腫らしたであろう事は一目瞭然だったのだが、一体何を此処まで泣くことがあったのか……「さっきまでミーシャちゃんと話してて……助けられてばかりだったのに助けになれて、それで……っ!」
エリクシルには珍しく要領を得ない喋り方だが、どうやら感涙の類なのは間違いないようだ。
泡狐竜を狩猟した一件以来親密な2人だが何かとエリクシルは彼女に助けられる節が多かった、それだけにミーシャの根幹に関わるような事で力を貸せたのは嬉しかったのだろう。
とりあえずは時折えずき交じりにな程に泣き続ける彼女を落ち着かせるのが先決だ、絞り出される言の葉を聞き逃さぬよう丁寧に相槌を打ち話を聞いていく。「すみません、お見苦しいところを……」
息も整い冷静さを取り戻したエリクシルが頭を下げる。 どれだけ話を聞いていただろうか、それだけ彼女にも思う所があったのだろう。
何はともあれ、これなら彼女はもう大丈夫だとは思うが……船室まで送るべきだろうか。「あのっ!」
対応に迷っていると唐突にエリクシルが顔を上げた、彼女の瞳の中に困惑した自分の顔が映り込む。
「私……足手纏いなのは分かってますけど、やっぱりあなたの隣に居たいんです。 狩猟も、そうじゃない時も。」
唐突な言葉に思わず狼狽えてしまう、ミーシャからも告白紛いの事は言われたが、これは疑いようもなく完全に告白だろう。
「今はミーシャちゃんの傍に居てください、でも……私をあなたの横を歩かせてください、頑張ってついていきますからっ!」
天空山で見せた笑みの理由が分かった気がして、言葉も返せず頭を掻く。
結局は彼女に言われたことを理由にし、答えを保留にしたまま足早にその場を立ち去り、逃げるように船首の方へと向かうのだった。 -
864
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-03-03 04:42
ID:r2AQHDk2
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「悲しみに 追いつかれぬよう――♪」
漸く辿り着いた船首では、ミーシャがいつもの歌を歌っていた。
甲板を駆け抜ける風が真っ白な髪を揺らし、ただでさえ際どい彼女の防具が更に際どくはためく。「……見たいなら幾らでも見せてあげますよー、まぁ、今見たいのはこっちだと思いますけどー。」
邪な視線に気付いたのか、夜空を眺めていたミーシャが背を向けたまま手を差し出す。。
その手に握られているのはあの集落――養父の家で彼女が手に入れた、彼の手記に挟まれていた封筒。
何も語らず無言で差し出してくるというのは中の物を見ても良いと言うことなのだろう、それを受け取り中を覗くと1枚の便箋が入っていた。
丁寧に折り畳まれたそれを開く、便箋の中央に小さく弱々しい文字で書かれていたのは、たった数文字のメッセージ。――傍で歩みを見守れないのが無念ですが、どうか凛と往きなさい。 愚かな母の唯一の願いです、貴方は幸せにおなりなさい。――
「笑っちゃいますよねー。 生まれた理由が知りたいとか、変に格好つけて鬼とか呼ばれて、蓋を開けてみれば何の変哲もない結果ですよー。」
恐らくここに書かれてあるメッセージは、ミーシャの母親が最後の力を振り絞って書いたものなのだろう。
共に生きられない事への懺悔と、切実に乞い願う娘への幸せ――彼女の言葉を借りるなら、疑いようのなく明確な『自分が望まれて産まれてきた』という証明。「何の変哲もないのにー……ははっ、なんで……っ。」
月の光に照らされて、彼女の眼から零れた涙が光る。
無理もないだろう、どれだけ下らなかろうが、たとえ悲惨な結末であろうが、これが彼女が追い求めていた答えなのだから。――白髪鬼だの呼ばれている彼女も特別な存在ではない、今回の件でミーシャの意外な一面を垣間見てつくづくそう思ったのだ。
「一体私を何だと思ってるんですかー、蟷螂は嫌いですし、泳げないですし、野菜はあんまり好きじゃない普通の女の子ですよー。」
……いや、まぁ、それも意外だが、そう自分から積極的にイメージを崩されると色々戸惑ってしまう。
掴みどころがなく大胆不敵で、それでいて常に冷静に敵を見据える優秀な弓使い。 彼女にはこれからもそんな存在であってほしいものなのだが。「どんな完璧超人ですか私は、お義父さんの歌詞が少し嫌だったから最後まで歌いきれなかった小心者ですよー?」
声色が変わり言動に軽口も混ざってきた、少しはいつもの調子が戻ってきたようだ。
しかし何度か聞いた歌だったがまだ続きがあるとは初耳だ。「折角だし聞いていって下さいよー、1人じゃまだ歌いたくないですしー。」
手で軽く目を擦ると、軽く咳払いをして喉の調子を戻す。
すぐそこに、手を伸ばせば届きそうな位置にある満月を見上げながら、彼女は歌を紡ぎだす。* * *
――やがて加速する白い吐息 煌めく花になり 砕けては胸を刺す それでも
群れた奴らが噂する 悪意の風に曝され 夜鷹はただ翔け昇る
死んでもいい 生きてるなら 燃えてやれ――
* * *
~シナリオ51:よだかの星~ & ~シナリオ30.5:鬼ガ狩ル鬼蛙~ CLEAR!!
GET:宝笛の金属器
GET:勲章・鷹翼の紋(ミーシャの出生を解き明かした証、彼女とおそろいのペインティング。) -
865
名前:よだかの星@兎
投稿日:2019-03-03 04:43
ID:r2AQHDk2
[編集]
今回も長々とお付き合いありがとうございました。
SSにはいつも作者の『書きたい』と読者の『読みたい』とのギャップが生じる物だと思っていますが、今回は『書きたい』を前面に押し出して執筆させて頂きました。
その為読者の方々にはつまらなく感じる部分もあったと思います、申し訳ありません。 それでは恒例の解説とさせて頂きます。・シナト船での選択肢
選択したキャラと会話イベントが起きます、仲間3人であれば今回のストーリーの掘り下げ関係、我らの団の誰かならMH4Gに絡めた会話を考えていました。
団長だったら「お前さんはうちのお抱えハンターとよく似た目をしているな!」みたいな会話を考えていました、なんだかんだ彼はいいキャラしていると思います。・言い包めの選択肢
何気ない選択肢のようですが実はストーリー展開が分岐します。
今回は大きく分けて『村での調査』『養父の家の捜索』『天空山の調査』の3パートから成り立っており、どこから開始か決定する選択肢でした。・メンバーの分け方
ほぼ演出の差が出るだけになります、が一応主人公が向かった方だけより詳しい情報が手に入るようにはしてあります。・天空山or禁足地
ボスはアトラル・カ固定ですが、天空山では幼体100匹の撃破、禁足地では卵鞘の破壊がクリア条件になります。・調査ルート
ボス戦を行うエリアと制限ターンが変わります、本来エリア3を調査した場合は挟み撃ちを受けて2ターンで撃破し切る必要がありました。
まさか、後ろ振り返るなんてなぁ……(遠い目)・ボス戦
手数を増やす系の案はダイス数、バフ系の選択肢は固定値に修正が加わります。
アイテムは閃光玉等の行動妨害系はダイス増加、タル爆弾は固定ダメージ、因みに2段目登攀中に蔦を焼く案が出された場合固定値50というギミックを仕込んでいました。・シナリオクリア
本シナリオだけではなく後味の悪かった『鬼ガ狩ル鬼蛙』もようやくクリア扱いです。
長いパスになりましたがここまでやってこれたことを皆様に感謝。・タイトル
ミーシャちゃんの核心に繋がるシナリオということでテーマソングのタイトルをそのままお借りしました。
これまで書いてきたシナリオの展開次第ではミーシャちゃん死亡エンドも考えていましたが――これだけ皆様に愛されることになり、作者としても喜ばしい限りです。さて、もしかしたらタイトルで何となく察している方が居るやもしれませんが、これで私、兎がテキクエで書くシナリオは最後になります。
書き始めて早2年と言うべきか、たった2年と言うべきか、何にせよ非常に濃密な時間を過ごさせて貰いました。
スレ内ではプロや筆頭ライターと言った賛辞を頂き、スレ外でも皆様の暖かい対応の数々……自分は幸せ者ですね。
最後になりますが、散々公言している大好きなバンド、Sound Horizonのとある歌詞を引用してお別れの挨拶の代わりにしたいと思います。* * *
僕等 此れが最後かもしれないけど
さよならは嫌だから 5文字の【伝言】-message- 唯 遺して逝きたいんだありがとう
-
866
名前:名無しさん
投稿日:2019-03-06 02:29
ID:v6C69k2U
[編集]
普段なら作者陣からのお疲れ様ラッシュがあるのにもうそれも無いんだな・・・
いつも斬新で面白く読み手の目線に立った楽しいシナリオを投稿し続けてくれた兎氏には感謝してもしきれないこちらこそ、ありがとう
-
867
名前:名無しさん
投稿日:2019-03-14 00:12
ID:NakhxNcU
兎氏お疲れ様でした。いつも楽しく読ませてもらっていました。もう兎氏のシナリオが読めないことが悲しいです。
今までありがとうございました。 -
868
名前:イオン・H・ハイアーインズ
投稿日:2019-03-20 09:02
ID:sX..C1vc
[編集]
ミーシャこと兎氏、お疲れ様です。
あなたに幾度も助けられてハンターを続けています。
今は少し休んでいる状態ですが、また狩りに行くことがあれば、あなたのくれた二つ名に恥じぬプレイをしたいと思います。
『夕刻の蝶』ことイオン・H・ハイアーインズより、心からの賛辞と感謝を。エリアル万歳!
ミラバルカンのメテオだってアマツマガツチのヒレ何でやねんだって「飛べば避けれりゅ!」 -
869
名前:名無しさん
投稿日:2019-04-18 22:56
ID:ozfWGhCI
[編集]
まだ作者さん達残ってるんだろうか(ごきげんようしたあの人除いて
シナリオは終わりにしろ裏話のリクエストとか一問一答投げたら答えてくれたりしないかな -
871
名前:名無しさん
投稿日:2020-05-27 19:35
ID:gZo0QGfE
へ
-
872
名前:猫の手
投稿日:2020-08-05 10:42
ID:k0UDzQCM
[編集]
もう作者陣の皆さん含めて誰もこのスレにいないのでしょうか?
このスレのお話好きだったのに…まだまだ回収してないフラグとかありますし、このコメントみた作者陣の皆様、どうかシナリオ52をお願いします!(渇望のピアス装備済み)
(お前がかけと?文才ないんだよ)
とりあえず、これみた人コメントください -
873
名前:暇
投稿日:2020-08-28 19:37
ID:kZJtOvU.
[編集]
へーい(ドスジャギィ)
-
874
名前:猫の手
投稿日:2020-09-04 16:42
ID:ZwqjZB4k
[編集]
ふう。やっと1人か、…次が読みたい。
このスレ大好きで、2年前ぐらいにモンハン始めた上位ハンター(村上位)(ダブルクロス)なんですけど、このスレの物語が面白くてすぐに読み終わりました!続きが読みたいです!
にしても暇さんやばすぎ兎さんや蟹さんのシナリオをそこそこって言えるぐらい文才あるとかやばい。 -
875
名前:名無しさん
投稿日:2020-09-04 23:51
ID:qtlCqPzY
[編集]
>>874
このテキクエの続きはもう無い
終わってしまったんだ
総合雑談スレ728辺りから読め -
876
名前:暇
投稿日:2020-09-05 08:04
ID:T0XJ9E7U
[編集]
はえ~雑談でやってたんすねぇ~
考えてた筋書きがポシャるくらい日常茶飯事だから気にしすぎることないない
兎さんなんだかんだで出没しとるならまた新しい巣箱置いといて月一更新くらいにしとけば寄ってくるやろ(適当)>>874
ネタばれを恐れぬ猛者で草
なお、おだてても効かん模様(謙虚) -
877
名前:猫の手
投稿日:2020-09-15 17:48
ID:U0tCT1Ic
[編集]
>>876
ちなみに僕は、このスレの書き込みが更新されなくなった後に来たで
それと、これって本当に終わったんですか?始動者暇さんですし? -
878
名前:名無しさん
投稿日:2020-09-15 19:44
ID:MuxKUwRg
[編集]
>>877
別に原案者が終了宣言した訳ではないから暇氏の一言次第で再開も正式終了もできる
実際のところ勘違い読者に叩き出されたり存在忘れてたりごきげんようしたり真っ当に再開しようとして訳のわからん批判や身内に足引っ張られたりしたりで他の作者居ないからかなり厳しいけど -
879
名前:猫の手
投稿日:2020-09-16 21:05
ID:U0tCT1Ic
[編集]
>>878 まあ、作者は、読者がなればいいし、今四人人確認されてるし、批判されたら批判されたで考えれば良くない?
ただ、あらすじのために時雨さんを探さないとな -
880
名前:暇
投稿日:2020-09-19 20:51
ID:BiAloAlU
[編集]
自分はワールド出るまでの暇つぶしくらいのノリで始めてこんな続くと思ってなかったし、実際ワールド出てからは放ったらかしだったしなぁ…
ここまで続けられるくらい協力してくれた参加者の皆にも、興味はなくとも容認はしてくれていた他の住人達にも、感謝はしとる…が、自分だけの一声で再開とは現状いくまいよ。
(期待に沿えなくて)すまんななのでワールドにミラ来るまでとスイッチにライズ出るまでの暇は単発専用物語スレ立てたのでそっちでつぶしまーす!!!(は?)
-
881
名前:名無しさん
投稿日:2020-09-19 23:24
ID:zI88a.Ds
[編集]
仮に再開したとして兎氏並みの文章持ってこいとは言わないけど暇氏や千壱氏レベルはないと読みたくないね
文章力とかじゃなくて選択肢ド下手とか読者置き去りやヒール気取りなのはもう勘弁じゃあ読まなければいいって? 実際リアルタイムでも名前伏せてる作者の話は読み飛ばしてたよ
-
882
名前:名無しさん
投稿日:2020-09-21 21:08
ID:BiAloAlU
[編集]
>>881
千壱さんいいよね…リィというキャラクターを生み出しただけでもマジリスペクト(露骨なスレ埋め雑談)
コメント書き込み
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